水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)『国益』って何? 11/11/30
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「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
最近、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加をめぐる動きのなかで、やたらに「国益を守る」という言葉が聞かれます。この単語、魔術的要素を持っているようで、「国益なら個人の利益は我慢しなければ」という気持ちになってしまいがちです。その背景に日本人特有の儒教的思考があるように思います。
11月17日、千代田春闘共闘(千代田総行動の一環)としてこのTPP問題で参加反対の陳情をするため、経済産業省を訪ねました。担当部署は「通商政策局経済連携課」。実は今回ここに行くまで、こういう部署があることを知りませんでした。聞いてみると、今回のTPPのように外国との通商条約などが成立するまで、ここが取り仕切ることになっているといいます。
その要請のなかでも担当者は、TPP参加にあたって「国益を守ることが大前提です」としきりに強調していました。その『国益』とは何でしょうか。以下、考えてみます。
例によって広辞苑は『国の利益。国利。』とそっけない。大辞泉も同様に『国家の利益。』としています。では、さらに突っ込んでみましょう。「国家」とはなんでしょうか。広辞苑は『①くに。邦国。②一定の領土とその住民を治める排他的な権力組織と統治権を持つ政治社会。近代以降では通常、領土・人民・主権がその概念の三要素とされる。』――と記しています。
少々、小難しくなりましたが、広辞苑で説明している後段の「領土・人民・主権」の三要素を考えてみると分かりやすいのかもしれません。翻って、国益というのは領土を守り、人民の利益を守り、その国の主権を守ることである、と理解してもよさそうです。
では、TPP参加によって国益は守られるのでしょうか。否、です。もしTPPに参加したら、確かに自動車などの輸出産業は利益を得るでしょうが、農産物の自由化で農業は壊滅的な打撃を受けます。同時にそれは食の安全が脅かされることにつながります。海外から人が流入し日本人の雇用が破壊されます。国民皆保険の制度が揺らぎます。
こうしてみると、TPP参加は明らかに「人民の利益」に反することになりますし、アメリカの要請にもとづく動きは、「日本の主権」が損なわれます。これでは、国益どころか〝国損〟になってしまうではありませんか。
前述の経産省への陳情のとき、担当者があまりにも「国益」を連発するので、ついムカッとして私は「国益とは、どこかの企業の利益のことではなく、国民にどれだけ利益をもたらすかだ。労働者が、農民が今より豊かなくらしができるようになることこそが国益だ。そういう立場からこのTPPに対処してほしい」と、語気が強まってしまいました。
だから、TPP参加は「開国」ではなく「壊国」と言われるのです。
★脈絡のないきょうの一行
防衛省沖縄局長の暴言、更迭が早かったね。これが議員だと時間がかかるのにね。