水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)脱原発シナリオをアセスメントするシンポ 11/10/13
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「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
カタカナ並びの表題になってしまいました。奇をてらっているわけではありません、ゴメンなさい。2日の日曜日、東大駒場キャンパスで「脱原発シナリオをアセスメントする」というタイトルでシンポジウムが開かれました。元香川大学教授の水野浩雄さんからご案内をいただいたもの。水野さんとは防災・被災者支援の運動で時折りご一緒させていただいている間柄です。
このシンポを主催したのは、UTCP(科学技術と社会)というグループ。メンバーをみてみると科学問題だけでなく、哲学や美術などの幅広い分野についても研究しているようです。興味のある方は「UTCP」で検索するとホームページが出てきます。なかなか手強そうなメンバーが参加しています。
午後1時に始まって、終わったのは7時前。6時間があっという間でした。報告者は井野博満・東大名誉教授(材料劣化・設備不備・立地不適などの技術的観点からみた危ない原発)、室田武・同志社大教授(温暖化をめぐるワインバーグの亡霊)、大林ミカ・自然エネルギー財団(原発のない低炭素社会の実現)、吉岡斉・九大教授(脱原発にロードマップは必要か)――の4人(カッコ内は報告のテーマ)。
全部を紹介することは不可能ですから、このなかの吉岡斉(よしおか ひとし)さんの報告を中心に紹介したいと思います。吉岡さんは九州大学の副学長でもあります。そして、政府がつくった「東京電力福島原発における事故調査・検証委員会」の委員の一人でもあります。いわゆる原発事故調のメンバーです。
少し横道にそれますが、原発事故の調査委員会がもう一つあります。先週、9月30日に国会(参議院)で成立した「東京電力福島原発事故調査委員会設置法」にもとづく付属機関がそれです。この事故調のメンバーはまだ決まっていませんが、民間人10名と衆参議員の代表によって構成されることになっています。自民党サイドからの要請があり民主党は当初、「政府の事故調で間に合う」という考えに立っていましたが、予算審議の進行などを考慮して受け入れたといわれています。
これにより、東電福島第1原発事故の調査委員会は「政府の事故調」と「国会の事故調」の2つが動くことになります。法案は全会一致で成立したといいますが、これこそムダだと思うのですがいかがでしょうか。これには意味がありそうで、のちに触れますが、違いは国会のそれは法律に基づくもので、かなりの強制力があるといいます。たとえば菅前首相や海江田前経産相の証人喚問も可能で、事故を起こした東電も資料提供を拒むことはできなくなります。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
大阪府の橋下知事、大阪市長選に出馬だって。無責任もここまで行くと、凄味があるね。
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前日の雨の影響でしょうか、昨日の朝、雲は低かったのですが随分遠くまで景色を見ることができました。秋らしさが日々進行しているようで気分的にもいいですね。シンポの報告に入る前に、二つの事故調のなかの「政府の事故調」メンバーは既に決まっていますので、紹介しましょう。
▼委員長/畑村洋太郎(工学者、東京大学名誉教授、工学院大学教授、失敗学会初代会長、株式会社畑村創造工学研究所代表取締役。元日立製作所社員)
▼委員長代理/柳田邦男(作家、科学評論家)
▼委員
尾池和夫(地震学者、京都大学名誉教授、前京都大学総長、地震予知連絡会委員、財団法人国際高等研究所理事・所長)
柿沼志津子(独立行政法人放射線医学総合研究所研究員、同放射線防護研究センター発達期被ばく健康影響グループチームリーダー、専門: 放射線生物学、分子生物学、疫学)
高須幸雄(元外務省官僚、元国際連合日本政府常駐代表、元在ウィーン国際機関日本政府代表部特命全権大使(IAEAに対する日本の代表))
高野利雄(弁護士、元名古屋高等検察庁検事長、元東京地方検察庁検事正、元財団法人国際研修協力機構理事長)
田中康郎(弁護士、明治大学法科大学院教授、元札幌高等裁判所長官)
林陽子(弁護士、国連女子差別撤廃委員会委員)
古川道郎(福島県川俣町町長)
吉岡斉(科学史家、九州大学教授・副学長)
▼技術顧問
淵上正朗(株式会社小松製作所顧問、同社元取締役・専務執行役員・環境、研究、開発、品質保証管掌)
安部誠治(関西大学教授、専門: 公益事業論、交通論、公企業論)
▼事務局長/小川信二(前最高検察庁総務部検事、東京地方検察庁公判部長、法務省施設課長、内閣府参事官)
3日朝のNHKの番組に委員長の畑村洋太郎さんが出演し、事故調の考え方や活動の様子を話していました。時間がなくすべてを聞くことはできなかったのですが、スタンスとして同意できるものがありました。たとえば「調査の際には責任追及はしないことを前提にする。そうしないと原因究明ができなくなるからだ」という部分。これはなかなかいい。責任追及が前提にあれば、関係者が喋れなくなるのは当然だからです。
委員長代理に柳田邦男さんが入っていることも面白い。4月の小ブログでJR福知山線脱線事故のことを紹介しましたが、柳田さんはきちんとモノを言う人です。そして、今回のシンポの報告者の一人、吉岡斉さんも脱原発の立場を鮮明にしています。この政府の事故調査委員会のメンバー(の意識)に焦りを持った自民党は、国会にもう一つの事故調を作ったのではないでしょうか。言い換えれば政府の事故調をけん制するために。
その意味において私は、政府の事故調は菅直人前首相の「置き土産だ」と密かに思っているところです。ただ一点だけ、国会の事故調は国会議員(共産党、社民党は脱原発を方針にしている)が参加することにおいて評価できる部分はあります。しかし、議員数が少ないことを理由に両党を排除する恐れがあり、楽観はできませんが。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
光より早いというニュートリノ。事実が検証されたらタイムマシンが理論的に可能。わくわくするなー。
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8日から10日まで、宮城県鳴子温泉で「どうする復旧・復興」というテーマで集会が開かれました。全国から230人が参加し東日本大震災問題の深刻さが浮き彫りになりました。その前段の7日に、その後どうなっているかを知りたいと思い、4月16日に訪ねた石巻市から亘理町までの同じ所を改めて調査しました。瓦礫が撤去されただけで復旧はほとんど進んでいない、というのが現状でした。報告は別に譲りたいと思います。
やっとシンポジウムの本題に入ります。前述のように九州大学教授の吉岡斉さんの話しを以下、報告します。
報告時間は1時間しかないことから、吉岡教授は準備したレジメの3分の1程度しか話せませんでしたが、興味深いものがありました。冒頭、『脱原発にロードマップは必要か』という問いかけに、「不要」と一言。まず、多くの人々が関心を寄せている「事故調」の動きですが、週に1回のペースで会議を行っているといいます。この動きはなかなか報道に出てきませんので、意外ではありました。
委員会における議論の詳細はいえないものの「今年12月までに中間報告、来年8月に最終報告をめざすことで議論している」としました。すでに9月末までに300件弱の資料収集を兼ねたヒアリングを行っており、10月以降も継続するといいます。吉岡教授は「(事故調の)問題点は、秘密主義的なところにある」と、ぽつり。
脱原発政策の骨子として①エネルギー政策における原子力の国策的推進と、手厚い保護・支援を全て撤廃すること②電気事業については、自由化を推進する(送電分離による平等化が基本)――の2点でいい、と強調。さらに「原子力発電が日本のエネルギー全体に占める割合(実力)は8%前後であり、これが無くなったからといってエネルギー不足という困難をきたすことはない」としました。
「現に、09年のリーマンショックが大きな影響を及ぼしているが、日本のエネルギー使用量は最近の5年間で10%減っており、原発の8%と比較すればまだおつりが来る」と指摘しました。この発想は面白いと思いました。原発反対を唱える人のなかにも「原発がなくなれば、日本経済が停滞するのではないか」という声が聞かれますが、その心配はいらないことを吉岡教授は語っているのです。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
プロ野球セリーグの首位攻防が面白い。追い上げてきた方に利があるというが。さて。
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吉岡教授は、原子力政策転換の方向性として以下の諸点をあげました。これはなかなか興味深いものがあり、すべて紹介しましょう。
(1)エネルギー基本法の抜本的な見直し
(2)エネルギー基本計画の廃止(原子力政策大綱も同様。「国策民営体制」の基盤をなしてきた国家計画の廃止)。
(3)資源エネルギー庁の解体(政府事業所轄の小さな組織でよい)。
(4)エネルギー事業全般の自由化推進。
(5)送電分離を骨子とする電力体制再編。
(6)東京電力の会社清算(政府は救済しない)。
(7)原子力発電に対する優遇・支援政策の撤廃(そのような資金があるなら、福島原発事故の賠償・収束・復旧に回すべき)。
(8)再生可能エネルギー全量買取制度の導入(ただし実力主義の観点を重視し、利権化しないような仕掛けを作る)。
(9)省エネルギーに対する強力なインセンティブ導入。
(10)温室効果ガス排出抑制政策の強化。
(11)結果としての脱原発(核燃料リサイクルも)。
(1)から(3)は法的・行政的な面からの見直しや規制を図ろうというものです。(4)はエネルギー事業全般の自由化推進を謳っていますが、よくよく考えてみますと電力事業に関してはあの人たちが得意とする「規制緩和」をしていません。新自由主義の立場からみれば、電力事業も市場経済に委ね〝自由化〟すべきです。そうなっていないところに胡散臭さを感じます。もちろん、吉岡教授は新自由主義の立場からではなく、原子力政策転換のプロセスの一つとして提起しています。
(5)はメディアでも取り上げられていますが、電気を作る企業と、それを送る企業を分離する構想です。電力事業の寡占化を止めることにつながります。(6)(7)はなかなか手厳しい。東電を清算して出直せというのです。しかも政府の救済措置なしで。さらに、原子力発電にかかわる全ての優遇措置を撤廃せよと提言しています。これらは経営的側面から原発をなくしていこうという思考にほかなりません。
(8)以降は環境問題ともリンクさせたものとなっています。火力発電はCO2削減ができなくなるという意見があり、それを理由に原発推進を主張する人がいます。環境問題でいうなら、CO2より放射能のほうがはるかに危険なのですが、宣伝が行きわたっています。その意味では、環境問題を抜きにして脱原発は語れず、再生可能自然エネルギーの活用は必要十分条件といえます。
以上が、吉岡教授報告の概要です。脱原発のロードマップが必要ないという理由として同教授は「マップをつくるということは、これまでの日本のエネルギー政策の様式を、みずからの身にまとうことになる。将来のエネルギーのありかたは経済社会が解いてくれるもの」と述べ、「どの再生可能エネルギーがどのくらいのシェアを占めるかは実力によるもので、その実力が発揮できるように政府が条件を整えればいい」と強調しました。少々、難しいシンポジウムではありましたが、考えさせるものがたくさんありました。
★脈絡のないきょうの一行
厚生年金支給開始年齢のさらなる引き伸ばし案。定年延長などのインフラ整備が先では?