水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)台風12号被害を考える 11/09/05

 

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 台風12号は大きな爪あとを残して去っていきました。大陸と日本海に張り出した高気圧に阻まれてスピードがダウンし、四国から関西にかけて大量の雨を降らせました。なかでも、紀伊半島の南部で、甚大な被害が発生しています。今朝(5日)の10時30分現在、6県で死者26人、行方不明者は54人となっており(東京新聞ウェブ)、さらに増えそうな気配です。家屋の倒壊や流出、道路の陥没や崩落などその全容は明らかになっていませんが、厳しいものとなりそうです。

 奈良県上北山村では、この台風の影響で雨が降り始めた8月30日から9月4日までの5日間に1,805㍉を記録。しかもこの雨量、この土地の年間雨量の4分の3にあたるといいます。この上山北村は、日本百名山の大台ケ原と大峰山(八剣山)のふもとに位置する場所にあり、通ったことがありますが、この周辺は雨量の多いことで有名です。

 年間雨量の多さでは、気象台と測候所で記録された公式記録では、この上北山村の南側に位置する尾鷲(おわせ)市と屋久島が、アメダスや委託測候所で観測された非公式記録では、えびの市と大台ケ原があげられています。つまりこの地域は、もともと雨が多いのです。

 そこにスピードの遅い大型で強い台風が通過しました。雨量の多かった上北山村ではさいわいに犠牲者はなかったようですが、周辺の市町村に人的被害をもたらしました。テレビでは土砂崩れで倒壊した家屋や、寸断された道路の映像が流れていましたが、その様子は東日本大震災の津波被害とオーバーラップしました。水の力を改めて見せつけられた思いがします。

 前述のようにこの周辺はもともと雨量の多い地域で、災害(雨)への備えは他の地域より強化されていたはずです。にもかかわらず、何故こんな大規模な被害が発生したのでしょうか。考えられる一つは、台風が上陸した3日未明から日本海に抜けるまでの4日午後までの間に(台風のスピードが遅かったこともあり)、集中的な大量の雨が降ったことです。そのため、避難するなどの対策を取る間もなく、豪雨被害が起きたのではないでしょうか。

 そしてもう一つは、雨量が多いのは「いつものことだから」という〝慣れ〟が、避難を遅らせたことが考えられます。気象庁は、九州から関東にかけた広範囲に大雨注意報や警報を出していました。これだけの広い範囲に注意報などが出ること事態が珍しいのですが、それだけ危険性は逼迫していたことになります。しかし、〝慣れ〟が逃げることを阻害した可能性があります。

 何故こういうことを書くのかというと、今回のような集中豪雨が首都圏を襲ったとき、同様の被害が起きる可能性があるからです。たとえば、横浜市。場所を特定はしませんが、横浜市のハザード・マップはその危険性を指摘しています。八王子市の山を切り開いた住宅造成地も危険です。奥多摩の山沿いも注意が必要です。

台風12号の教訓は、大量の雨は想像を絶する地すべりや道路の崩壊を引き起こす可能性がある。したがって、早めの避難をすべきである、ということかもしれません。このことはしっかり肝に銘じたいものです。何よりも自然災害からいのちを守るために。

★脈絡のないきょうの一行
「税と社会保障の一体改革」は、増税と社会保障の切り下げ政策だ。