水久保文明(JCJ会員 元毎日新聞労組書記 千代田区労協事務局次長) 争議支援を!09/09/26
 

 

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 

争議支援を!①

■水久保文明(JCJ会員 元毎日新聞労組書記 千代田区労協事務局次長)

 先週金曜日・11日、解雇や賃金差別、セクハラなどでたたかう人たちを支援する「争議支援総行動」が終日展開されました。主催は東京のローカルセンターである東京地評。26団体がエントリーし、相互支援の行動となりました。私もその一部に参加しました。その中のいくつかのたたかいを以下、紹介したいと思います。

 まず『東和システム』です。これは以前にも小ブログで紹介しましたが、名ばかり管理職問題で会社は東京地裁で敗訴し、東京高裁に控訴しました。その意趣返しでしょうか、裁判を起こした電算労の組合員3人から仕事を取り上げ、〝仕事をさせない〟という嫌がらせを行っています。組合はこの嫌がらせは組合介入の、不当労働行為であるとして、是正を求めて東京都労働委員会に救済を申し立て、裁判所と労働委員会の両方でたたかいがすすめられています。この会社、不当労働行為のデパートといっても過言ではなく、〝どげんかせんといかん〟企業です

 二つ目は『新国立劇場』の争議です。この劇場は国立ですから、国の管理下にありその運営は〝天下り族〟によってなされています。この劇場はオペラを中心に上演する劇場となっています。オペラといえば、合唱団はつきものです。この合唱団員が組合に加盟し、待遇改善を要求したところ女性組合員が解雇されました。これを不当として団体交渉を申し入れたところ、劇場側は「合唱団員は労働者ではないから団交に応じる義務はない」として拒否してきたのです。

 労働組合はこれを不当労働行為であるとして、東京都労働委員会に救済を申請し都労委は、合唱団員は労働者であることを認めました。これを不服として劇場側は中央労働委員会に不服審査を申し立てましたが、中労委はこれを却下したたかいの場は裁判所に移りました。ところが、東京地裁は労働委員会の決定を覆し「合唱団員は労働者ではない」という判決を下したのです。

 この国の裁判所の下品さは目をおおいたくなります。委託契約とはいえ、劇場から賃金を受け取っている合唱団員が労働者ではないという論理は、どんな角度から見てもおかしなことです。しかも合唱団の人たちは年収300万円程度のギリギリの生活を強いられているのです。裁判所は高裁も地裁判決を踏襲し、現在、最高裁での争いとなっています。この新国立劇場問題は「労働者性」をめぐる典型的なたたかいといえ、注目していく必要があります。(次回につづく)

 

10292 争議支援を!②

■水久保文明(JCJ会員 元毎日新聞労組書記 千代田区労協事務局次長)

 新国立劇場のたたかいは、労働者性を争っていますが、労働委員会の決定が裁判所によって覆されたことに私は憤りを感じます。確かに、裁判を起こす(受ける)権利は、法人であっても個人であっても保障されています。しかし、労働委員会で労働者側の主張が認められたものが裁判で覆されるのは、どうしても納得できません。

 もともと労働委員会は「労働者救済」の機関です。従って、使用者側から救済の申し立てはできない仕組みになっています。ここに労働委員会の特徴があるのです。その労働委員会が審議し、労働者の訴えにもとづいて救済したものを裁判所が覆すということは、「救済機関」としての労働委員会の役割を否定されたことにほかなりません。「裁判所よ、おまえは何様だ」といいたい気分です。

 そこで私は無理を承知で、以下のようなことを考えています。

 労働委員会は「二審制」ですが、中労委で労働者救済の命令が出たら、事業主はこれに従い裁判を提起できないという拘束力を付議すべきではないかということです。逆に、労働者が負けた場合は、「救済」が実現できない訳ですから、裁判所に訴えができるという規定は成り立つと思います。

 言い換えましょう。労働委員会で労働者救済の命令が出たら、事業主はそれを不服として裁判に訴えることはできない。しかし、労働者の主張が却下された場合は、裁判に訴えることができるという規定をつくり、労働委員会が本来の労働者救済期間として(使用者側に対する)権限を強めるべきだと思うのです。そのためには法的整備が必要になるでしょう。解雇制限法など労働者保護規定をつくり、使用者側への規制をもっと強める必要もあるでしょう。

 こういうことを考える論拠に、命令を書く場合のスタンスの問題があります。ご承知かと思いますが、労働委員会は三者委員で構成され、命令はそのなかの公益委員(ちなみに三者委員とは、公益委員、労働者側委員、使用者側委員のことをいう)が担当することになります。この公益委員が命令を書く際に「裁判に耐えられるか」ということが機軸になっているといいます。つまり、その事案が不当労働行為であるかどうか、ということより命令が裁判に耐えられるかどうかを考えて命令を書く傾向が強い、というのです。もしそうだとしたら、「労働者救済機関」が泣きます。

 新国立劇場の解雇撤回闘争は、こんなことを考えさせられています。がんばれ、八重樫節子さん。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
すごいぞイチロー、9年連続200本安打。野球はアメリカの国技から日本の国技に?

10293 争議支援を!③


 先週、9月11日の「争議支援行動」は、昼休みに国鉄の1047名(すでに52名が死亡)の解雇問題の解決を求めて、国交省に移動しました。国鉄が分割・民営化されて22年、国労をはじめ解雇された仲間たちは厳しいたたかいを余儀なくされています。

 その仲間たちは要求を3つに絞り込みました。①雇用②年金③解決金――がそれです。「解雇撤回はどうするんだ」という声があります。確かに、労働者の生命線とも言える「解雇」に触れないことは忸怩(じくじ)たるものがあります。しかし、仲間たちはそれを乗り越えて大論議の末、経営側から少しでも解決の可能性を引き出すために「解雇撤回」を敢えて取り下げ、要求を3本に絞ったのです。

 雇用は、JRだけでなくその関連企業にまで広げて対応してほしい。年金問題は、22年という長きにわたり60歳を過ぎた人たちにとっては緊急・切実な課題となっています。解決金は、裁判所のいう〝慰謝料〟ではなく、解決金として支払ってほしいというのです。雇用問題では、これが実現したら事実上〝解雇撤回〟を勝ち取ったことにもなります。

 これらの要求は、「政治決着」を図るためのぎりぎりのものです。先の総選挙によって、きょう民主党、社民党、国民新党による連立政権が誕生しますが、国鉄問題はその成否を試されることになります。今年4月に国鉄闘争の解決をめざす集会が、千代田区内の「星陵会館」で開かれました。このとき初めて公明党の代表が参加し発言しましたが、民主党からの来賓は現在の鳩山代表でした。「早期解決に全力をあげたい」という発言は、当事者と支援者に力を与えました。新政権に期待したいものです。

 争議支援行動は昼食休憩のあと、明治乳業の賃金差別の解決を求めて、中央区の明治ホールディングスに集結しました。この会社、昨年秋に明治乳業と明治製菓が合併して誕生したもの。このたたかいのカギを握るのは持ち株会社である明治ホールディングスである、として集中的な抗議行動を展開しています。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
いよいよ〝自民党による戦後政治〟の総決算を行う内閣が誕生する。監視を緩めてはならない。

 

10294 争議支援を!④


 明治乳業のたたかいは、賃金差別の是正です。たたかわない労働組合を批判し、職場から労働運動をつくろうとがんばった仲間たち。ところがそれを嫌った会社は、「赤組」「白組」のレッテルを貼り、活動家への嫌がらせをしました。挙句の果ては、昇格・昇給をさせないという賃金差別を行ってきたのです。

 これを不服として始まったのが、明治乳業の賃金差別反対のたたかいです。ところがこのたたかい、24年目に入りました。争議団に参加する仲間たちのほとんどは定年を迎え、年金生活者となっています。労働委員会でも負け、裁判も今年2月17日に最高裁は上告不受理の決定を下しました。

 この最高裁の不受理決定は、東京高裁判決が確定したものですが、争議団の仲間たちにとっては重要な事実認定をしているのです。つまり、高裁は争議団の賃金差別は認めなかったものの、「控訴人らの主張を妥当するとみる余地はある」と結論づけたのです。つまり、会社による不当労働行為性を認めたのです。しかし、判決は原告らの敗訴になってしまいました。こういう事態を私は「結論の誤謬」といっています。

 最高裁で判断が下ったのは、明治乳業市川工場で働いていた人たちを中心とした事件でした。ところがもう一つ、このたたかいには「全国事件」というものがあります。東京だけでなく、明乳では会社のやり方に反対する人が全国にいました。この人たちをも会社は差別したのです。このたたかいは今、東京都労働委員会の場で争われています。証人尋問などが行われていますが、ぜひ注目いただきたいと思います。

 会社は昨年秋から準備を始め今年4月1日に、明治製菓と経営統合を行いました。これによって持ち株会社として「明治ホールディングス」が生まれました。この明治HDがこの争議の当事者となります。この新しい会社、要請行動に行っても警備会社に対応させ会うことすら拒否しています。自ら起こした事件を警備会社に後始末をさせようとしており、許しがたい対応で批判は高まっています。支援強化をぜひお願いいたします。

★脈絡のないきょうの一行
新政権、自公政治がつくった国民いじめの政策転換に手をつけ始めた。楽しみだ。