水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)「復興」と「復旧」 11/07/29

 

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 先日の「千代田平和集会」のパネルディスカッションのなかで、法政大学の増田正人教授から、大震災問題にからんで「住民を中心にした復旧や復興をどうしていくのかが大事な問題だ」という発言がありました。この「復旧」と「復興」のちがい、長年被災者支援の運動に取り組んできましたが、私自身明確にしないまま、ぼんやりと使っていました。ところがこの集会で発言となって現われましたので、改めて考えてみることにしました。

 広辞苑には「復旧=もと通りになること。もと通りにすること。」と説明しています。一方の「復興=ふたたびおこること。また、ふたたび盛んになること。」としています。ほかの辞書を調べてみましたが、同じように書いてあります。

 たしかに、「復旧工事」という使い方はしますが、「復興工事」という言い方は目にしません。「復旧」は原状回復の意味合いが強く、「復興」はそれより先の発展した状態をイメージしています。新聞やテレビを見ていて、この言葉が出てきたとき私は復興も復旧も同じようなものだと、漫然と考えていました。

 この問題について福島県の「福島県復興ビジョン検討委員会」(座長・鈴木浩福島大学名誉教授)が、7月8日に佐藤雄平福島県知事に「復興提言」を諮問しました。その中には名文化されていませんが、検討委員会で「復旧」と「復興」についての興味ある議論がされています。

 同検討委員会の議論では、復旧は「従前の姿に戻す」ということとし、復興は「震災の結果を踏まえてよりよい状態にする」と位置づけました。この考え方、非常におもしろい。復興は復旧よりさらに進んで、よりよい状態にすることだというのです。この使い方の違い、学びたいものです。

 当然私たちは「復興」すなわち震災以前より、よりよいまちづくりや労働を要求します。それは何より人間性の回復につながるからです。以前、この小ブログで「復興とは人間性の回復を実現することによってこそ完遂する」ということを書きました。それは災害被害がいかに人間性を破壊するものであるかが明らかだからです。

 間もなく大震災発生から5ヶ月目に入ります。被災者のみなさんの生活はどうなっているでしょうか。仮設住宅の建設は遅々としています。せっかく仮設に入れるようになっても、食事の提供がないことから断るケースが生まれているといいます。

 福島県の「ホットスポット」周辺のみなさんは、避難場所から自宅に戻れない状態が続いています。まだ正確な数字は発表されていませんが、震災関連自殺は急増しているといいます。これらは人間性の破壊そのものです。まちづくりもさることながら、被災者のくらしに人間性を取り戻すことも緊急に求められています。

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