水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局次長 元毎日新聞労組書記)「菅降ろし」の本質を考える 11/06/20

 

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 菅直人総理大臣の不信任決議をめぐって、私は「目くそ、鼻くその議論だ」と申し上げましたが、その真意を測りかねていました。ところが先週末、それを〝解決〟するかのような一つの出来事がありました。原発所在地の首長が即座に反発しましたが、政府が打ち出した「停止中の原発の再稼動」提案がそれです。

 摩訶不思議なことです。安全性が確認されていない停止中の原発を稼動してほしい、というこの発想、どこから出てくるのでしょうか。ついこの前、菅さんは浜岡原発を止めたばかりではありませんか。その同じ人(政府)が、場所は違うものの稼動してほしいというのですから、これはもう一種の分裂症としかいいようがありません。

 しかし浜岡原発の停止問題が、菅降ろしに起因するものであったとしたら、さもあらんという気がしないでもありません。振り返ってみれば、菅降ろしの嵐が吹き荒れ始めたのは、5月のゴールデンウィーク明けからでした。それは言い換えると浜岡原発の停止を菅首相が要請した5月6日以降のことです。

 このとき異常と思うほど、財界は一斉に反発しました。とくに、浜岡原発のあるお膝元のトヨタはすごかった。根回しがなかったのではないかとも思うのですが、どこかの誰かの(仮に、「天の声」としておきましょう)逆鱗に触れたのです。それを自民党は「待ってました」とばかりに取り上げて動きだし、民主党の一部もそれに同調しかけましたが、不信任決議案の採決結果とその後の経過は、ご承知のとおりです。そして事実上、菅内閣は「6月退陣」を突きつけられたのです。

 浜岡原発停止が菅降ろしの原因だったのなら、それをチャラにする方法が「停止中のほかの原発の再稼動」だと考えたフシが垣間見えます。つまり内閣の延命策として、「天の声」に対応(媚を売る)するために奇襲作戦に打って出た、と考えると辻褄が合うではありませんか。だから、一方で「停止」、ところが一方では「再稼動」を言わざるを得ない自己矛盾に陥っているのです。

 ところがこの作戦、どうも裏目に出たとしか思えません。前述のように首長から反発され、国民からもそっぽを向かれているからです。原発の「停止」で財界から、「再開」で国民から見放されていく菅内閣、自ら寿命を縮めているといえそうです。がしかし(とここで書かなければならないのは悲しいが)、この作戦が的中したらこの国の政治は恐ろしいことになります。

 ところでこの菅降ろしの背景について、メディアはどうみているのでしょうか。毎日新聞の報道から見てみます。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
少子化は非正規・低所得が原因(2011年子ども・子育て白書)。切ないねー。

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 6月16日付けの毎日新聞に、『原発事故政局を疑う』として同社専門編集委員の金子秀敏さんが書いています。冒頭、「昨今の菅降ろしが、どうも腑に落ちない」から始まっています。

 金子氏は、「菅首相はいつ、どのように事故処理に失敗したのか。だれが首相なら、どのような対応ができるか。だれも言わない。」「与野党が論じているのはもっぱら退陣の時期である。」「菅降ろしの理由は、ほんとうは原発事故対応の失敗ではないのではないか。」と疑問を呈しています。この意見、私も同感です。

 ところが彼が行き着いたところは、「6月3日、自民党は参院予算委で首相、財務相、行政刷新相の献金追及を再開した。22日の会期末まで、参考人招致などで菅首相らを追及するらしい。とすれば菅政権が追い詰められているのはこの問題ではないか。」ということでした。つまり、外国人献金問題などが菅降ろしの背景にあるのではないか、というのです。

 私は、献金問題が菅降ろし背景の一つであろうことは否定しませんが、本質はそれではないと思います。自民党が参議院で献金問題の追及再開を始めた6月3日は、不信任決議案が否決(2日)された翌日でした。が、菅降ろしの動きは5月段階から強まっており、献金問題が背景とは思えません。本筋は、脱原発指向を恐れた財界と政界の思惑なのではないでしょうか。

 加えて、菅降ろしの背景にもう一つ「大連合志向」が潜んでいると思っています。この問題は別の機会に譲ります。

 こう書いてくると、私が菅内閣を支持しているのではないかと思われる恐れがありますので、敢えて申し上げておきます。①消費税増税路線の推進②TPP参加の推進③アメリカ追随の沖縄問題の対応――の3点に集約されますが、この内閣は自らつくったマニフェストに反するばかりか、国民生活を崩壊させる危険な内閣です。したがって、党利党略的要素を除けば「菅内閣打倒」は賛成です。

★脈絡のないきょうの一行
福島第一原発の浄化装置、こんなにトラブルつづきだと値段は公表できないよなー。