水久保文明(JCJ会員 元毎日新聞労組書記 千代田区労協事務局次長) 気になるネーミング、「政権選択選挙」 09/08/25

 

 

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 

気になるネーミング、「政権選択選挙」


 どこの誰が言い出しっぺか分かりませんが、多くのメディアは今度の総選挙を「政権選択選挙」と表現しています。私はこの言い方、最初は当たり前のことのようになんとなく聞き流していたのですが、最近、ちょい気になり始めました。なぜならすべての総選挙はもともと政権を決めるものであって、今回に限らず政権を選択する選挙だからです。

 その当たり前のことをあえて言い出し、ことさら強調するメディアの意図はどこにあるのでしょうか。

 この際だからはっきり言いましょう。自民党と民主党の政権交代を意図している、と断言できます。言い方を変えましょう。このネーミングは(とりあえずは良いことですが)自民党にとっては、かなり不利です。少なくない人々の中には、各党の政策に目を向けるのではなく、政権をどうするかという単純な選択を迫られているように思えるからです。

 4年前を思い起こしてみましょう。全てのメディアは「郵政選挙」と声高に叫び、郵政の民営化に賛成か反対かを(国民に)迫りました。結果はご承知のとおりですが、力を得た小泉構造改革は郵政の民営化だけにとどまらず、国民生活全ての分野に広がり、「生活破壊」政治が強行されました。

 新聞をはじめとした各メディアの総選挙の予測が出揃いました。「民主党300議席を超えるか」というのがほとんどです。4年前の「自民党300議席に迫る勢い」という見出しと違うのは、主語だけです。いま国民全体に「政権選択」というバイアス、いや、催眠的暗示がかかっています。そのなかでの調査結果は、この間の自民党の悪政を見れば自ずと決まってしまいます。

 民主党が政権を奪取するのはほぼ間違いないでしょう。問題はその後、です。同党は改憲を言っていますし、衆議院の比例部分を減らすことを公約にかかげています。憲法と民主主義の土台にかかわるはずの、この問題について論じるメディアはとんと見かけません。選挙はやはりいつの時代でも、政策で論争し国民に信を仰ぐべきです。そのための役割をメディアは果たすべきです。

 今度の日曜日、政権が代わることになるでしょう。それ以降、メディアが本来持っていなければならない「反権力」の精神を、新政権に対して貫けるか、今から監視していきたいものです。

★脈絡のないきょうの一行
派遣切りなどで住居をなくした人は、この選挙で投票できない(宇都宮健児弁護士)。これはひどい。