<随想>2012年5月1日

日本国憲法施行65周年に思う

阿部敏勝(JCJ・マスコミ9条の会・会員)

Ⅰ、末期的症状の国会
  前半の会期を終えた第180通常国会。消費増税問題や原発の再稼働問題で露呈した粗弱な体質の民主党と過去の反省なく傲岸な自民党、国民の不信は極まっています。
  4月中旬に行われた朝日新聞の世論調査でも野田内閣の支持率は25%に落ち込み、民主党の支持率も18%に低下しました(因みに自民党の支持率は13%、民主、自民併せて31%という惨状、逆に支持政党なしが52%にはね上がりました)
  この状況の中で野田首相は大連合を画策しましたが自民党に足元を見られて挫折、早期解散、総選挙必至の情勢になって来ました。大阪維新の会などの雄たけびも激しくなって来ております。

Ⅱ、わが国の議会制民主主義の問題点
  ご存じの通り現行の選挙制度、小選挙区比例代表併立制は94年1月、細川連立政権(新生党、社会党、公明党、さきがけ、民主党他)のもとでスタート、07年の参院選挙で民主党が第1党となり、続く09年の衆議院選挙で民主党政権が誕生しました。
  併し38年間に亘った自民党優位の付けは大きく、原発問題に象徴される無責任統治が横行、加えて民主党の力不足と背信は東日本大震災、東電福島原発の大事故とも合まって停滞と脱線を招き、「第2の自民党」と揶揄されるに到っては何の為の政権交替か解らなくなって来ており、「機能不全」という他ありません。
  この際「一票の格差是正」「比例制度の改訂」等消費税増税の前提として約束された事項に滞まらず、2院制度を始めとした議会制度全般について見直す必要が生じてきています。

Ⅲ、直接民主主義制度による補強が必要
  日本国憲法はその前文で議会制民主主義(間接民主主義)について「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」と定めており又直接民主主義については第96条に「憲法改正に関する国民投票制度」を、第79条に「最高裁判所裁判官の国民審査制度」を、又第95条に「特別法による住民投票制度」を定めておりますが、社会が高度化、複雑化している今日、直接民主主義による「国民投票」「住民投票」をもっと充実する必要があると思います。例えば原発問題です、原発の事故が広域、長期に及ぶことはチエルノブイリや福島の事故で証明されています。すなわち、周辺県、市町村住民からの国民投票、住民投票の要求です。
  ところが国民投票・住民投票に関するおおかたの首長、議員、政党の考え方は旧態依然たるもので国民の直接参加を拒んでおります。以下に例を挙げます。

〇国会議員の例(民主党前原政調会長)プロフェショナルである国会議員に任せるべきだ。
〇政党の例(自由民主党の公式見解)国会は国権の最高機関であり、国民投票はこれを阻害する慮れがある。
○首長の例(橋下大阪市長)選挙で受けた信任はある意味での白紙委任であり、個々の問題参加は不要。

※いずれの発言にも見られる現実と「思い上がり」の乖離に慄然とします。これからは個々の政策についての議員や政党の動きを厳しくチェックする必要があると思います。例えば橋下市長(大阪維新の会)私たちは彼が計画している原発対策には賛成します。併し教育問題や憲法9条に関する考え方には反対です。つまり一体として白紙委任状を渡す気持ちはありません。(これは他の議員、首長、政党に対しても同じです)いずれにしても理念がなく、只選挙と政党交付金のために集まっているとさえ言われる議員、政党と国民がどの様に対峙してゆくかの問題は特に小選挙区制のもとで現実的な課題です)
  尚今月3日は日本国憲法が施行されてから65年の節目です。この日私たちは国民主権と国際平和を基調とする憲法のもとで新しい国づくりへスタートしました。
  併し今日、この憲法を廃し、戦前の圧政と隷従の世界へ戻そうとする連中が蠢いて居ります。
  護憲メンバー各位の一層の奮起を期待して已みません。

※参考資料(是非ご一読下さい)
  □朝日ジャーナル・政治の未来図   2011/10 朝日新聞社
  □   〃     ・わたしたちと原発  2012/ 3  〃
  □世界 ・教育に政治が介入するとき 2012/ 4 岩波書店
  □原発をどうするか、みんなで決める
   国民投票、飯田哲也、今井一 他  2011/11   〃
  □体制維新・橋下徹、堺屋太一    2011/10 文芸春秋社
  □橋下政経塾が日本をダメにした・八幡和郎
                         2012/ 2 幻冬社
  □政治家だけに日本を任せるな・岩見隆夫
                         2012/ 4 毎日新聞社
                                                        (以上)