<随想>2012年2月1日

岐路に立つ国会、岐路に立つ民主主義

阿部敏勝(JCJ・マスコミ9条の会・会員)

 

はじめに

  開催中の第180通常国会。国の方向性、さらには政党政治そのものを問われていると言うのに相変わらずの我利我利亡者ぶり、やり切れない思いの国民としては議会制民主主義そのものへの疑問さえ抱きつつあります。併し乍ら独裁主義や帝国主義が身を誤らせる事は歴史が証明している処であり、我々国民としては今こそ憲法の精神に立ち還り、国家100年の計を考えるべきときでしょう。今回は「政治改革」及び「消費増税」問題に搾って記します。

Ⅰ.日くれてなお道遠し政治改革

  政治改革、この言葉を何十年間私たちは聞かされて来た事でしょう、併し実態は変っていません。今国会でも財政改革、消費増税との関連で衆議院議員比例定数の削減案が提示されていますが、これも所詮は二大政党制を企む民主党と自民党の談合の様なものであり、中小政党が唯々諾諾と従がう筈がありません、この様な乱暴な案を出してくるあたり、政権サイドのやる気を疑います。「定員削減」もさる事ながら50%以下の得票率で70%以上の議席を獲得できる現行「小選挙区制」そのものを変えなければ憲法が言う「正当に選挙された国会における代表者」つまり「主権者たる国民の民意を代表する者」とは言えません。即刻修正すべきと思います。

※2005年の総選挙で自民党は47,8%の得票率で73%の席を獲得しました、又2009年の総選挙では民主党が47. 4%の得票率で73,7%の議席を獲得、政権を奪取しました。そしてこの陰で3,000万票以上の死票が生まれました。これ即ち「小選挙区制のメカニック」であり「虚構の多数」と言われる所似です。

※2011年9月に毎日新聞が実施した国政に関する与論調査(面接方式)でも「国家運営の仕組みを改める必要がある」との意見が85%もあり、具体的には「国のリーダーの選び方の改善」が63%「国会議員の選び方の改善」が44%「中央と地方の行政の役割分担の改善」が36%「中央省庁の役割分担の改善」が31%「中央省庁の人材育成システムの改善」が29%「政党の人材育成システムの改善」が28%でした。又2011年12月に朝日新聞の全国調査(郵送方式)では「日本の政治をどの程度信頼していますか?」との設問に対し「大いに信頼」が1%「ある程度信頼」が28%「あまり信頼していない」が55%「まったく信頼していない」が15%でした。「国権の最高機関である国会の機能不全」への怒りが如実に出ております。

Ⅱ.消費税増税の前に財政改革を

  自民党の放漫経営によって生じた財政危機を「ムダの排除によって救う」との謳い文句で政権交替を勝ち獲った民主党、公務員住宅、八ッ場ダム、整備新幹線と抜け道が続々、特に問題は原子力関係予算並びに独法(独立法人)並びに特計(特別会計)関係予算、原子力関係は電源三法がある限りある程度はやむを得ないとしても脱原発の世論とは裏腹に核燃料サイクル研究等の為の研究開発費に2,095億円(11年度2,432億円)もんじゅ維持費300億円、原発立地、自治体への交付金など1,310億円(11年度1,512億円)安全事故対策費等783億円(11年度302億円)合計4,118億円(11年度4,236億円)と大盤振る舞い、新しい方向性など殆んど感じられません。(原発関係につきましては予算問題の他、電源三法関連法改正、事故処理及び責任の追及、原発廃止国民運動、新エネルギー振興対策等申し上げたいことが多々有りますが対米問題(安保及びTPP)共々次回に譲らせて戴きます)次に前記「独法」独立法人並びに特計(特別会計)の処置案
①現在102ある独立法人(財政支出3兆円)を65に搾る
②現在17ある特別会計(190兆円)を11に搾るとの事ですが、これによって生ずる新規財源の表示がなく、結局は従来共に繰り返されて来た合併等による目くるましにしか過ぎない様です。

※因みに2012年1月に実施されました朝日新聞の全国与論調査(電話方式)によりますと「消費増税案」に賛成が34%反対が57%「行政改革可能」が19%不可能が67%「野田内閣」を支持するが29%(前回31%)支持しないが47%(前回43%)でした。又読売新聞の調査(電話方式)でも「消費税増税案」賛成は39%、反対は55%「野田内閣支持率」は支持37%(前回42%)不支持51%(前回44%)でした。つまりは国民から「信用されていない」と言う訳です。

 ※参考資料(是非ご一読下さい)
  □ 月刊・世界・特集「民主主義の再興を」  2012年1月 号岩波書店
  □ 月刊・憲法運動「国会議員定数削減問題と第180通常国会  2012年2月号 憲法会議
  □ 句刊・法学館憲法研究所報   2011年7月 伊藤 真
  □ 誰が責任をとるのか、東電解体  2011年10月東洋経済新報社
  □ 体制維新ー大阪都、橋下徹、堺屋太一  2011年10月文春新書
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