皆様

5月2日と今日(5日)、NHK放送文化研究所の問い合わせ窓口へ、次のような質問を送信しました。また、2日に質問を送信した後、受け付け窓口へ電話をして着信の確認をし、早期に回答をもらうよう、要望しました。下線とカラ-文字は、このメールを入力するにあたって追加したものです。
目下、回答を待っている状況ですが、お気づきの点、特に私の理解に誤りや至らない点があるとお気づきのことがありましたら、お知らせいただけると幸いです。
文中にある「RDD法」の問題点については、それをわかりやすいく解説した、元NHK記者 山形良樹さんの短い論評「世論調査の正しい見方」があります。
http://www.tsunamachimitakai.com/pen/02_yorouchosa.html

時期遅れのそもそも論かもしれませんが、総務省がデジタルテレビ放送の浸透度調査を、「デジタル放送推進協会」に委託したこと自体、調査の客観性に疑念を抱かせるものだと思います。

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NHK放送文化研究所への質問(2011年5月2日送信)
 ①『放送研究と調査』2011年4月号に掲載された、2011年11月「全国接触者率調査」単純集計結果によれば(テレビ放送・受信方法(MA))、11月15日~21日のリーチで、総合テレビをアナログ放送で見た人の割合は23.0%、デジタル放送で見た人の割合は48.3%となっています。また、教育テレビの場合は、それぞれ12.1%、25.3%となっています。
 ②他方、総務省がまとめた昨年12月時点での「浸透度調査」によれば、地上デジタルテレビ放送対応受信機の世帯普及率は94.9%とされています。
 ①で集計されたデジタル放送での視聴割合と、②で集計された地上デジタルテレビ対応受信機の普及率との関係をどう理解すればよいのか、お教えください。

(注1)
2010年6月「全国接触者率調査」<平成22年11月実施> 単純集計結果(『放送研究と調査』2011年4月号、掲載)
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/broadcast/pdf/101222_02.pdf

地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査(平成22年12月実施)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000106190.pdf

(注2)「リーチ」とは?:月曜日から日曜日までの1週間に1日でもテレビを「見た」、「聞いた」、「読んだ」人の率を集計したもの。


NHK放送文化研究所への追加質問(2011年5月5日送信)
5月2日に、貴研究所が「全国接触者率調査」の一環として調査された、デジタル放送によるNHK総合テレビ、教育テレビの視聴割合と、総務省が公表した浸透度調査(平成22年12月実施)との関係を、この問い合わせ窓口へ質問をした者です。この件について、以下のとおり、追加の質問をさせていただきます。デジタル放送への一斉移行が2か月余の後に予定されている時期でもありますので、早期にご回答くださるよう、お願いいたします。

 〔質問1〕『放送研究と調査』の本年4月号に掲載された「2011年11月『全国接触者率調査』単純集計結果」の質問6に対する回答の集計結果によれば、「地上デジタル放送」を受信しているテレビが「ない」と答えた被調査者の割合は20.1%、現に総合テレビをデジタル放送で見たという回答の割合は48.3%、アナログテレビで見たという回答の割合は23.0%(いずれもリーチ)となっています。
 他方、総務省公表の「浸透度調査」では、地上デジタルテレビ放送対応受信機(対応テレビ、対応録画機、外付けチュ-ナ-、チュナ-内臓パソコンもしくはパソコン用の外付けチュ-ナ-、セットトップボックス<CATV>のいずれか)を保有している世帯の割合は94.9%となっています。
 このように両方の調査でほぼ同一の質問に対して回答結果に相当大きな開きが出たおもな理由はどこにあると貴研究所はお考えか、お聞かせください。
 なお、以下は、その理由として私が推定することです。これらについて、貴研究所の調査と関わる限りにおいて、お考えをお聞かせください。

 〔質問2〕調査方法について
 総務省(調査の実施主体は社団法人デジタル放送推進協会)が公表した浸透度調査はRDD法によりサンプルを抽出した後、郵送調査を実施したとのことで、回答を得た世帯の年収別、年齢構成別の分布が示されています。
 他方、貴研究所の調査方法は「配布回収法」とあり、男女別・年代別、職業別・都市圏別のサンプル構成が示されています。

 (質問2-1)ここでの「配布回収法」と「RDD法」の異同をご説明ください。もし、違いがあるとすれば、それが調査結果に及ぼす(と推定される)影響の有無、程度をどのように判断しておられるか、お聞かせください。

 (質問2-2)総務省が公表した「浸透度調査」の結果によれば、全世帯の普及率94.9%に対して、年収200万円未満の世帯での普及率は87.7%で依然として平均値とかなりの開きがあります。貴研究所の調査では世帯もしくは回答者個人の年収別の分布は調査されたのでしょうか? 調査され、データがあるのであれば、その分布状況お知らせください。調査されていないとすれば、それがデジタルテレビの普及率の調査結果に及ぼす影響の有無、程度について、どのようにお考えになっているか、お聞かせください。
 ちなみに、『国民生活基礎調査』(平成21年)によれば、所得金額別の世帯数の相対度数分布では200万円未満の世帯の占める割合は19.4%となっており、総務省が公表した「浸透度調査」におけるサンプル構成(10.0%)と大きな乖離が見られます。

 〔質問3〕設問の仕方、集計結果の解釈について
(質問3-1)貴研究所の調査における「『地上デジタル放送』を受信しているテレビは何台ありますか」という質問で言われている「「『地上デジタル放送』を受信しているテレビ」とは、対応録画機、外付けチュ-ナ-、チュナ-内臓パソコンもしくはパソコン用の外付けチュ-ナー、セットトップボックス<CATV>も含めた「地上デジタル放送の視聴が可能な受信機」という意味でしょうか、それとも地上デジタル放送対応テレビに限定したものでしょうか?

(質問3-2)総務省が公表した「浸透度調査」によれば、地上デジタルテレビ放送対応の受信機を保有しながら、アンテナや分配器などがデジタル放送に対応していない等の理由で視聴できないと回答した人の割合が2.7%を占めています。
 また、地上デジタルテレビ放送を視聴できる環境にあるが、デジタルテレビ放送を視聴していない人の割合が2.4%となっています。
 他方、貴研究所の調査結果では、地上デジタル放送を受信しているテレビを1台以上保有していると答えた人の割合(100%-保有していない20.1%-わからない0.9%-無回答0.2%=78.8%)と比べ、(現に)総合テレビをデジタル放送で見た人の割合(48.3%、リーチ)がアナログテレビによる視聴の割合(23.0%)との対比でかなり低くなっています。その理由をどのようにお考えか、お聞かせください。

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醍醐 聰
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