視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)13/07/23

 

「参院選」

 

 自公は合わせて70議席を超え、過半数は制した。しかし、自民、みんなの党、日本維新の会を合わせても憲法改選発議可能な3分の2獲得はできなかった。政策を問い続けた東京新聞が「改憲歯止め 原発・TPP推進」と書いた通りだ▼安倍首相は「落ち着いて安定的な状況の中で議論を深めていきたい」(東京)としながら「まずは国民投票法」と「96条改正」に意欲を見せている。読売・政治部長が「集団的自衛権」について、有識者会議の議論を8月にも再開、行使を可能にする新たな憲法解釈の検討を始める」と書いているのは、改憲問題は終わっていない、ということだ▼社説を見ると、「民意とのねじれ恐れよ」(朝日)「熱なき圧勝におごるな」(毎日)「傲らず暮らし最優先に」(東京)、そして読売も「数に傲らず着実に政策実現を」と自民党を戒めているのに、産経が「『強い国』へ躊躇せず進め」と論じているのが目立つ。「千載一遇の好機が来た」(五嶋清編集局次長兼政治部長)との主張が今後の政治を動かしかねない▼年末の総選挙ではよく見えなかったが、原発問題などを契機に若い人たちが動き出し、革新の中で若い候補が当選してきた。激しく争っていた共産党の吉良佳子(30)と無所属の山本太郎(38)の当選は、選挙戦も変わってきていることを示している▼今回も、選挙報道はやはり「政策」より「政局」に動き、投票の基準を示す「争点」より、どちらが勝つかの「焦点」が多かった。選挙報道も変わらなければならないのではないだろうか。