視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)13/03/18

 

「4・28」

 

 参院選までは「タカ派色」は隠し安全運転で行くはずの安倍内閣だが、春が近づくとともに、隠したツメを見せ始めている▼施政方針演説では、改憲議論を深めることや原発再稼働、「平成の学制大改革」を打ち出し、「国家安全保障会議」にも言及。続いて、沖縄・名護漁協への辺野古埋め立て同意要請、四国山地ではオスプレイ低空飛行訓練、戦闘機部品の「武器禁輸3原則」例外扱いが出てきた。国会でも「国際的集団安全保障参加の道を開く」とか「憲法96条改正に全力」「東京裁判は勝者による断罪」とエスカレートした▼極めつきは「4月28日を『主権回復の日』とし天皇も出席して式典を開く」とした閣議決定。確かに61年前、サンフランシスコ平和条約が発効して日本は国際社会に復帰したが、この平和条約で沖縄は本土と切り離された。沖縄では「屈辱の日」で、今の沖縄の苦難はそこから始まっている▼沖縄では「沖縄切り離し平和条約」の基になった「天皇メッセージ」がよく知られている。昭和天皇側近の寺崎英成は1947年9月GHQを訪ね、「独立後も沖縄の米軍駐留を希望する」との天皇の意思を伝えた。米公文書で発見され、入江相政侍従長の日記も裏付けた▼それにしても、安倍首相は、沖縄の民意を無視し神経を逆なですることを狙う「正面突破作戦」に出たのか、認識不足による「想像力の欠如」なのか?▼沖縄では反対運動が始まり、メディアも立ち上がった。だが、本土では地方紙を除き全国紙の社説は沈黙。やっぱり沖縄は日本ではないのか?