視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)13/01/15

 

ニューヨークタイムズ安倍批判

 

 「安倍首相は、朝鮮や他の地域の女性を性奴隷として使ったことを含む第二次大戦中の日本の加害に対する謝罪を書き直そうする動きを見せている」―1月3日付ニューヨークタイムズの社説。

  「安倍氏の恥ずべき衝動は、北朝鮮の核兵器プログラムなど地域の重大な協力を脅かすかもしれない」▼一方、「安倍晋三首相が指名した恐ろしいほど右傾的な内閣はこの地域にとって悪い兆」と書くのは、英誌エコノミストの1月5日号。閣僚について、「13人は『伝統的価値観』への回帰を提唱、戦時中の行為について日本の『謝罪外交』を批判する国家主義的シンクタンク『日本会議』を支持。さらに9人は歴史教育で軍国主義時代を賛美するよう求める議員連盟に所属している。これらの閣僚は、第二次大戦当時の日本の残虐行為の大半を否定する」と批判した▼できるだけ世論を刺激するようなことは避け、景気回復をして参院選の勝利を目指す、というのが安倍民主党政権の基本戦略だそうだ。かといって「私の政権で改憲を」と言ったかつての夢を諦めてはいない。一歩一歩、着実に進める。例えば集団的自衛権、例えば教育改革、例えば生活保護切り下げ…。それぞれ有識者会議を作って世論形成も考える▼だが「歴史」は安倍政権のアキレス腱。アジア侵略の反省から生まれ、平和国家建設を世界に約束した日本国憲法を捨てる主張にも、世界の目は当然厳しい。もう一度、日本近現代史を読み直し、自民党が狙う憲法とは何なのか考えたい。歴史の否定は憲法の否定でもある。