視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)12/06/15

 

再稼働

 民主主義社会では、主権者である国民が主人公として自由に発言し、政治を動かしていく社会のことだ。この基礎には、当然、政治家が国民の声に耳を傾け、ものごとを筋道たって考え、説明する姿勢が求められる。結論がどうであれ、決定までの道筋には、論理がなければならない。こんなことを改めて言わなければならないのは、あまりにも論理抜き、あるいは論理不在の決定が多いからだ▼原発事故の原因、メカニズムは、津波なのか、地震なのかすらまだわからない。事故で暴走する原子炉を鎮めるのにどうするか、住民はどう逃げるか、その段取りも決まらない。規制の仕組みもできてはいない。なのに「再稼働」。そもそも「脱原発依存」はどこに行ったのか。こんないい加減な政府の行動と取りようもない事故の責任を「首相が責任を持つと言ってくれた」と、OKを出す地元自治体。そして首長もいい加減だ▼消費税も同じ。消費税は4年間は動かさないと約束したし、後期高齢者医療制度の廃止も、年金の改善もあるはずだ。ここで増税だけの先行は、国民生活を一層苦しくさせ、少し取り戻した景気を逆戻りさせるだけだ。何を批判されてもまともに反論せず、国会質問は問題をそらし、密室協議でごまかし「合意」。ややこしい消費税は民主党にやらせ、新自由主義・保守二大政党制に突っ走ろうという自民、公明…。これも国民を騙す仕掛けだ▼「言葉と論理」を取り戻したい。自分の頭で考えない政治家、言葉を信じなくする政治家には退場してもらうしかない。