視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)12/02/15

 

事故原因

 「これまでの国の安全指針は、津波について十分な記載がなく、長時間の全交流電源喪失も考えなくてよいとするなど、明らかに不十分な点があった」「諸外国では次々改定されているのに、日本ではそこまでやらなくてもいい、という言い訳ばかりに時間をかけて意思決定しにくい状況にあった」▼15日開かれた国会事故調の4回目の委員会で、斑目春樹原子力安全委員長はこう述べて、これまでの国の安全指針に瑕疵があったことを認め、「陳謝」した。傍聴してわかったのは、原発の安全について、国の「監督」などは骨抜きで、事故までの対策、仕組みもいい加減。当事者には、それが重大な仕事であることへの自覚も責任感も全くなかったことだ▼淡々とただ自分が理解している「事故原因」を述べた斑目氏にも、技術者でないことを理由に、「のれんに腕押し」の答弁を繰り返した寺坂信昭前原子力安全保安院長にも、「これが日本の第一線の学者、官僚だったのか」と情けなかった。もちろん東電には責任がある。だが問題は、「基準がどうだったか」ではなく、基準を直さず放置していた責任はどうかであり、「危ない」と思っていたかどうか、ではないか▼それにしても「今の基準はダメだ」とみんな認めているのに、再稼働したり、輸出しようとしたりするのはどういうことか。また地震が来て津波が来て、事故が起きたら、「ストレステストもやったが、新しい基準は間に合わなかった」とでもいうのだろうか? そんなものが認められるはずはないではないか。