三枝和仁/広告会社勤務/日本の広告費2009年 5兆9222億円、前年比88.5%。インターネット広告がはじめて新聞広告をぬく。
日本の広告費2009年 5兆9222億円、前年比88.5%。
インターネット広告がはじめて新聞広告をぬく。
■三枝和仁(広告ユニオン組合員)
電通が2月22日、2009年の日本の広告費を発表しました。総額で5兆9222億円。前年比で88.5%。前年の95.3%に続き2年連続前年比割れとなっています。
その中でも、媒体別では新聞広告費が81.4%と大きく減少し、マスメディアの中心の4媒体(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)の前年比でも85.7%と減少。これは5年連続の減少だそうです。
なぜ、インターネット広告が新聞広告を上回ったのか。
2009年の大きな特徴は、新聞広告費6739億円(前年比81.4%)、インターネット広告費7069億円(前年比101.2%)と、インターネット広告費がはじめて新聞広告費を上回ったことがあげられます。今後、この差はさらに開き、インターネット広告費は今のテレビ広告費(1兆7139億円)に近づいて行くでしょう。
リーマン・ショックに端を発した世界金融危機が広告業界にもマイナス影響を与えています。しかし、インターネット広告の増加と新聞広告の落ち込みは一時の不況の影響を越えた、広告主のメディア選択の構造変化でしょう。
広告主のターゲットに情報を届けやすく、その効果データが逐一把握できるインターネット広告は受け入れられつつあるのではないでしょうか。電通の広告費統計解説の中でも「バナーなどディスプレイ広告に比べて検索連動広告の伸長率が高い」と記されています。商品・サービスに関心を持つターゲットに告知でき、どれだけの人数が見たかがわかるインターネット広告は広告主にとって注目するメディアなのでしょう。
片や新聞広告の実態は部数のデータ、年一回の閲読データで誰が広告に接しているかを推定するしかない。まして、十年来新聞の若者離れが進んでいる状況を知るなら、F1・M1ターゲットの広告主に新聞は魅力的ではないでしょう。
新聞広告費を増やす方法。
しかし、新聞を「さようなら」と言う訳には行きません。新聞は国民に一次情報で国際社会や国家・政府の動き、様々な事件・事故・災害を伝えてくれるジャーナリズムです(テレビのワイドショーなどは新聞をパネルに張り、それを解説することで番組を作っている程です)。
この一次情報を伝え、それを国民目線で解説することが新聞の社会的役割だと思います。
いま、多くの人が生活不安・将来不安を抱えています。それを政府がどう改善しようとしているのか・いないのか。それを日々伝え、不安解決の道筋を示す役割を担えば新聞への信頼は回復し、多くの読者を獲得できるのではないでしょうか。
国民の求めている情報を政府などから一次情報として取材し、それを読者目線でしっかり解説し、国民の利益に奉仕するメディアに新聞が立ち切れば、多くの人達はその情報を求め読者になり、閲読時間も長くなるでしょう。その時、広告主は新聞のメディア価値に気がつくと思われます。インターネットはなんだかんだ言っても二次情報で新聞ほどホットでないと。
新聞広告の優位性は地域密着では。
と言っても、新聞広告を出すのにネットの何十倍もの費用がかかることにブーイングをする広告主もいるでしょう。
新聞メディアの優位性は宅配機能による地域密着性でしょう。ITの発達した昨今、記事も含め新聞メディアの地域細分化は充分可能でしょう。それに対応したリーズナブルな広告提案をおこなって行くことと、前記の紙面の魅力作り、細分化された身近な記事内容で新聞広告価値の再生は可能ではないでしょうか。
電通の広告費発表でインターネット広告に新聞広告か抜かれたことで多少考えたことです。