仲築間卓蔵/連載「六日のあやめ 十日の菊」(9) /ベトナム戦争とアメリカのジャーナリズム /06/06/15
古くなった受像機を買い換えたついでに ケーブルテレビに加入したのですよ。
街の電気屋さんが「ケーブルに入るためにはNHKの受信料を支払わなければ」というので つい口車に乗ってしまいました。それまでは支払っていなかった。民間放送で働いているというだけで 取り立てにはきませんでしたね。
NHK問題(金の使い方をめぐる不祥事もさることながら 「ETV2000」への自民党議員による介入 その後 番組担当者に対するみせしめ配転となりました)をきっかけに 受信料の支払を停止しましたよ。
ケーブルテレビは簡単に了解しましたね。受信料支払が加入の条件ではなかったのですよ。
番組介入問題 プロデューサー配転問題が決着つけばと(国営放送にでもなられたら大変だから)支払復活の機会をみているのですが 当分だめなようですね。
6月8日 9日 10日 3夜連続の「米軍再編」番組を見ましたか?
「九条の会・全国交流集会」の打合せで8日 9日は見てないのです。見た人の感想は「ひどい!」でしたね。
全国交流集会(ぼくは第6分科会の司会でした 和気藹々 笑いが起きて経験交流ができたいい会だったのです)のあと 例によって居酒屋で飲んだものだから 帰宅したとき特番最終日はもうはじまっていました。
視聴者を交えた(もちろん沖縄 岩国のひとも参加していました)ものでしたが アメリカの言うなりの政治ではないか・・・・という肝心なことになると 三宅というアナウンサーが話を反らすのですよ。一定の役割を担った司会でしたね。
終わり良ければ全て良し」といいますが ぐずぐずで終わってしまいましたよ。長時間の討論は無意味だった というより 「再編問題はむずかしい」「結局は押し付けられてしまう」という「印象」の番組で終わったのですよ。
3夜連続の狙いは 成功したといっていい。これがNHKの主要な側面ですね。
でも 僅かだが違う側面もある。
9日の深夜 『その時・・』の再放送を見ました。
「これが正義の戦いか」というタイトルで ベトナム戦争時のアメリカのジャーナリトのたたかいを描いたものです。
ベトナム戦の当初 アメリカのジャーナリストは正義の戦いと信じ 勝利を疑いませんでした。
やがて 戦争の真実を伝えているだろうかと こころあるジャーナリストが戦場に赴きます。
UPI記者N.シーハン NYタイムズ記者D.ハルバースタム CBSイブニングニュースのW.クロンカイト。
そこで彼らは 政府発表と現実のあまりな違いを目にします。
解放戦線兵士300人を殺した というが 実は15人だったこと。見方のはずの南ベトナム人の家を焼き払っていること。
逃げ惑う民間人。死んでいくアメリカ兵。
それまでベトナム戦支持65パーセントだったアメリカの世論は 一気に逆転します。
大統領ジョンソンは怒ります。「彼らは祖国の裏切り者だ」と。
W.クロンカイトは番組でありのままのベトナム戦を伝えた後 「勝利者としての道を捨てるしかない」と締めくくります。全米反戦デモがおきます。
運動に押されるかたちでジョンソンは退陣。
次の大統領ニクソンに決定的衝撃をあたえたのは NYタイムズに転じたN.シーハン記者の 7000ページにおよぶ「ペンタゴンペーパー」のスクープでした。
内容は ベトナム戦の発端となったトンキン湾事件は 実はアメリカによる挑発だったこと。北爆の目的は軍事施設ということだったが その80パーセントが民間だったこと などです。
ニクソンはNYタイムズに「連載中止」を申し入れます。NYタイムズは 「機密漏洩にあたるのではないか」と議論します。
そして 大統領の中止要請を一面トップで拒否します 「この資料は 血を流して支払ったアメリカ国民とインドシナ人民のものだ」と。
ニクソンはアメリカ最高裁判所に連載差し止めを訴えます。最高裁は これを却下します。「報道機関は 政府に奉仕するものではなく 国民に奉仕するものだ」と。
ジャーナリストの勇気。報道機関の決意。裁判所の判断。
見事というしかありませんね。
W.クロンカイトは いまジャーナリスト養成学校の教授。「権威を恐れることなく 自由に学び 議論せよ」といいます。
N.シーハンはいまも活躍しています 「国民が迷っているとき 権力はジャーナリストを排除したがる。たたかい続けなければならない。いつでも成功するとは限らないが たたかわなければ成功はない」といいます。
最後に写真家の石川文洋さんが登場しました(マスコミ九条の会の呼びかけ人の一人です ここで自慢することもないか)「アメリカ政府はベトナム戦争報道を教訓にした。
湾岸戦争以来 報道規制は強まっている」「取材規制と報道・・・いま せめぎ合いだ」と。
『その時・・・』がとくにあたらしい素材を提供したわけでもないのですが イラク戦争泥沼のいま なぜか新鮮なものに思えたのです。
現場のジャーナリストのなかにも この番組を見た人がいるでしょうね。
どんな感想ですかね。ちょっと聞いてみたいきょうこの頃なのですよ。
憲法九条をかえて 海外で戦争ができる国にしたい。「愛国心」を植え付けるために 教育基本法を変えたい。・・・・そんな人たちがあれこれ動いています。
いま 歴史が動こうとしていますね。