仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ−/連載「六日のあやめ 十日の菊」(31)「NHKは日米軍事同盟 強化に「舵を切った」か  /08/02/13

 

 NHKは日米軍事同盟 強化に「舵を切った」か  

 

 なるべく番組を評価す るようにしようと考えて スタートした新年だった のだが、はやくも「がっ くり」である。それは1月28日から3回シリーズ で放送された『NHKス ペシャル』“日本とアメ リカ”。第1回は『深ま る日米同盟』、29日は『 ジャパン・パッシング“ 日本離れ”との闘い』、 3回は2月3日『大リー グ』。  

 2月11日、文京区で「 テレビの問題点を考える」 という話をさせられたが、 その席でも、『深まる日米 同盟』を見た人から「背 中に水を浴びせられたよ うな気持ちになった」と いう感想が出された。

 NHKのホームページ には、『深まる日米同盟』 について、「“基地を提供 する”代わりに“核の傘 で守ってもらう”という 片務的な関係が続いてき た戦後の日米同盟のあり 方がいま大きく揺れてい る。北朝鮮のミサイルの 脅威に対抗しようと、急 速に配備が進むミサイル 防衛。その現場では、日 米の情報共有、技術・産 業面での一体化が究極ま で進んだ結果、集団的自 衛権を行使しないという 原則や、武器輸出三原則 を乗り越える動きさえ出 てきている。番組では、 ミサイル防衛とインド洋 給油活動を巡る日米の動 きを取材、日米同盟にど んな変化が起きているの か、その実態を描く」と あった。


 「実態を描く」のであ れば「客観性」があって 当然だが、それはない。 米海軍の技術研究機関の 内部などを取材して「N HKならでは」の映像が 随所に見られたが、“軍 事一体化”の宣伝番組と もなればアメリカも積極 的に取材協力したのだろ う。


 番組は、軍事一体化の 眼目である「弾道ミサイ ル防衛(BMD)」の現 実が紹介されていく。自 衛隊員がBMD研修でア メリカの軍事メーカーと 肩を並べてディスプレイ に向かう姿。「一体化」を 進める人物だけを登場さ せて、集団的自衛権を行 使できない現在の政府見 解を批判させる。新テロ 特措法が成立して「正直 ほっとした」と安どの表 情をする自、公の姿を映 し出す。司会のMアナウ ンサーときたら、「現実 の変化のスピードは早い」 「現実に議論が追いつい ていない」などと、「必 要な法整備を進めるのは 当然」といわんばかりの 立場である。


 JCJ放送部会でも話 題になった。NHK 関係者によれば「あの番組 は政治部主導でつくられ た」ようだ。放送法「改 正」でNHK経営委員会 が強化されるようだが、 報道番組の今後が思いや られる。  2月13日のNHK朝の ニュースが「沖縄での米 兵による中3少女暴行事 件」に触れていたが、タ イトルは「米軍再編に逆 風」。顔出ししていたS 解説委員は「米軍移転計 画は6年後に完了という ことになっているが、影 響がでるだろう」という。


「大事な時に 余計なこ とをしてくれた」という 雰囲気の伝え方である。  『ジャパン・パッシン グ“日本離れ”との闘い 』も、市場開放・規制緩 和を求めるアメリカ財界 の思惑を描いて批判を浴 びている。『NHKスペ シャル』はその多くが良 心的な番組づくりを目指 していたはずである。が、 『日本とアメリカ』を見 させられるにつけ、NH Kは「日米同盟強化を後 押しする」方向に「舵を 切った」と見られるだろ う。「あなたの受信料で 支えられています」とい うNHKである。「公平、 公正」を取り戻してほし い。まだ遅くはない。

このページのあたまにもどる  

 仲築間卓蔵