小中陽太郎/作家/名古屋での市民とジャーナリスト、労働者たちの活動 ―メディア問題を中心に市民と現場を繋ぐ― /06/11/02


名古屋での市民とジャーナリスト、労働者たちの活動
―メディア問題を中心に市民と現場を繋ぐ―

小中陽太郎(作家)

 

「ロイター通信によると、10月の米兵の死者は100人に達し、05年1月以来の人数となった」(朝日06年10月31日)。30日にはバグダッドでイラク人29人が死亡、イラク派遣はいよいよ血みどろな泥沼化している。一日も早い多国籍軍の撤退しか解決はないだろう。
 名古屋では、イラク派兵違憲名古屋訴訟のうち、11月10日には天木直人元駐レバノン特命全権大使分の判決を迎える。天木氏は、外交官としてみてきた外交だったが、市民の目にたって見方が180度変わったと感動的な原告陳述を行った。判決を受けて、来る11月22日(水)6時半から、なごやボランティア・NPOセンター(御園座南、伏見ライフプラザ12F)で「イラク戦争・日本の進路・メディア」と題してシンポジウムが開催される。ぜひ全国からおいでいただきたい。講演天木直人、コーディネーター木村直樹(名古屋マスコミ夜塾幹事)、コメンテーター小中である。資料代700円(学生500円)。主催、市民と言論実行委員会だ。

このシンポジウムは2002年5月21日「メディア規制を考える市民の集い」として発足させた。参加団体は、「市民とメディア研究会・あくせす」「マスコミ夜塾」「マスコミと人権を考える東海の会」などの市民団体、「日本ジャーナリスト会議東海」などのジャーナリスト団体、それに「日放労中部支部」、「民放労連東海地連」「新聞労連東海地連」、「全印総連愛知地連」「愛労連」である。マスコミ労働者と経営者、市民が共通の立場で語り合うもので、OBの大西五郎や大橋弘達のジャーナリスト、市民運動の木野秀明、平川宗信らが知恵を出し合っている。特にNHK労組と民放労連が一堂に会するのは60年安保以来といわれ、わたしが内心深く評価するところのものである。
第1回が岐阜県御嵩町長柳川喜朗をゲストに迎えた。その後、「イラク報道と有事法制」で久保田弘信、ついで綿井健陽氏らのフリージャーナリスト(04年5月)、とくに高遠菜穂子さん救出運動にはイラクと結んで活動したことである。5年18回を数え、今後もメディアの問題を中心に市民と現場をつなぐ場でありたいと10月に反省会を行ったところである。
 

もうひとつ東海地方から報告を。私事だがこの4月から犬山市にある名古屋経済大学短期大学部放送コースに通っている。あたりは「功名が辻」の舞台。国宝犬山城で知られる。16代城主成瀬正勝には大学時代謦咳に接した。紅葉がきれいで散策する。犬山市の教育は特に自主性が高く、最近も全国一斉の学力テストに加わらない。殊に、この9月に「革新・愛知の会」のニュース(9月5日)のインタビューで、教育長の瀬見井 久さん(69)が、教育基本法を生かす、と語っていて感動したので紹介したい。
「あたらしい戦後の教育基本法は、国家目的にそった子どもを育てるのではなくて、子どもの人格、すなわち、みずから主体的に考え行動する子どもを育てることが教育の基本目標であるとおいたわけです。」と堂々と教育基本法の根本を説いた後で、それを現場に下ろしてこういいきるのです。「これは、市町村教育委員会の主体性を尊重し現場主義に満ちた法律です。授業づくりの権限、教員研修、教科書採用の権限すべて市町村教育委員会がもっています」
こういう気概があれば今問題の必修漏れ問題など各県で自主的に解決できるはずだ。地域に根ざす教育の必要性に勇気付けられて紹介した。 10月31日記